この夏、ありがたいことにレコーディングのお話をたくさんいただき、
なんだかんだで2ヶ月近く期間が空いてしまいました…。
続きを楽しみにしていた渡辺ファンの方々、たいへん申し訳ありません。
また今回から再開致します!
二回目の今回は、渡辺さんがどうやってモーラーを習得していったのか
その経緯と併せて、渡辺さんのドラムを始めた頃までさかのぼって、
お話いただきました。ご覧ください。
(撮影:桧原勇太)
渡辺:思い返すとモーラーって結構地道な基礎練習が必要で、基礎ができた上で
いろいろ積み上げていかなきゃいけない。
まぁ、楽器をやるなら、何でもそうだと思うんだけど、モーラーの場合、特にそうで。
なので、やっている内に「いまやってる練習って役に立つのかな?」って
懐疑的になる瞬間があるんです。やっぱり結果が出るのが先なので、
自分ができるようになって初めて
「あっ、あの頃の練習ってやっててよかったんだ」って思えるので、
ある程度の忍耐力が必要かも(笑)
velvet room studio(以下、vrs):(笑)
でも、渡辺さん、先ほど、スタジオで個人練習とかしないって
おっしゃっていたじゃないですか?
モーラーを始めたばかりの頃はどうやって練習していたんですか?
渡辺:その頃は、こういうとあれだけど、ドラムセットじゃなくてもできてたというか。
vrs:あ、なるほど。練習台とか。
渡辺:そうそう。腕の動きとかひたすらやるので。
でも、音質の変化が絶対あるので、最終的には生ドラムを使う必要はあるんです。
最初は叩いて耳だけで判断していたものを、あるタイミングから叩いた後の
振動というか、体で感じられるもので判断する必要があって。
でもそれは、生ドラムでないとわからないもので、
それを確認するのに、個人練習に入るのは大切かな。
僕はモーラーを習い始めた頃すごく忙しいバンドをやっていたので、
モーラーの習得とバンド活動を並行してました。
なので、バンド練習でみんなが休憩しにいってる時におさらいしたりとか。
で、動きがよくなってきたら、実際バンドで演奏する時にも使ってみたりと
そんな風にやってたかな。
vrs:じゃあ、最初はモーラーとそれまでの奏法が混在してたってことですか?
渡辺:そうそう。腕がよくなってきたら腕の動きを変換するというか、
徐々に置き換えて、足はまだなので、そのままで、とか。
そうすると、だんだん慣れていくでしょ?
僕は結構無理矢理だったんですよ。必要性にかられてやっていたので。
モーラーを習得しないと体がツラいし。
vrs:それがプロフィールページにも書いていた
年間100本ライブしてた頃ですか?
渡辺:そうそう。なので、その時はどちらかというと個人練習に入っている
暇がなかったよね(笑)一週間に5日バンド練習でスタジオにいたので。
vrs:ラ、ライブも含めですよね?
渡辺:いや、練習だけで。毎回3時間くらいやってたかな。
vrs:週休二日のうち一日はライブ、みたいな…。
渡辺:ホントそうだった。
なので、いま思うとすごく追い込まれてやってたのかなって。
vrs:その時の練習場所は以前おっしゃっていたメンバーの方のご実家の
空きビルですか?
渡辺:いや、その頃は違う。空きビル使ってたのは高校生の時。
何故か知らないけどサッカー部のメンツで(笑)
軽音楽部とかじゃぜんぜんなくて、みんなサッカー部(笑)
みんなでバンドやりたいってなって、ドラムがいないってよくありがちな(笑)
vrs:出た、ドラマーあるある(笑)
渡辺:別にドラムに興味もあったので、無理矢理じゃないけどね(笑)
で、練習場所があるっていうからいっそのことセット買っちゃおうって。
vrs:えっ、じゃあ、マイドラム持ち込みで?
渡辺:そうそう。でもホント入門用の安いセットだったけど。
シンバル、ベロベロみたいな(笑)
vrs:YAMAHAでもPearlでもないみたいな?(笑)
渡辺:いや、一応TAMAだったのかな?(笑)
でも、一番下のランクのやつ。
それを買って持ち込んで。でも、その時も一日置くらいで練習してて。
vrs:えー、そうだったんですね。やるな、高校生(笑)
渡辺:その時はスタジオ代もかからなくて、でも生ドラムは叩けて。
いい環境でしたね。
その頃はまだ誰にも教わったことがなくて、モーラー習うまでは独学で。
でも、ドラムやってるとどこか体が痛いなとか疲れるなとか出てくるじゃない?
vrs:はい。
渡辺:当時からそれを自然と回避していたらしく、足はかかと振ってたんだよ。
vrs:えっ、それモーラーの動きじゃないですか?
渡辺:そうそう。こんな踏み方してるヤツいないよなって思いながら、
でもこれが楽なんだよなって。で、モーラーを習い始めたら、
動きがすごい似てたので、これでよかったんだって思って(笑)
vrs:すごいですね!?
僕もドラムずっとやってましたが、そこに行き着きませんでしたけど(笑)
渡辺:根本的に体に「ツラい」とか「痛い」っていうのが
基本的に根性なしなので、ダメで(笑)
なので、反射的にそういう考えに及ぶんだと思うんだよね。
vrs:なるほど。
渡辺:なので、腕の動きとかも最初教わった時、
わりと早くできるようになって。まぁ内回転とか特殊なものは別だったけど。
vrs:じゃあ、渡辺さんの叩きたいフォームの理想型がモーラーだった
ってことなんですかね?
渡辺:そうなのかな…そうなのかも。
だからいま思うと、ドラムを始めた頃に先生について習ってたら、
逆にダメになってたかもしれない。
vrs:なるほど。
でも、日本人って「型」の文化って好きじゃないですか?
僕も昔、書道とかやっていて、いくら字がうまくても、
書き方がダメって注意されることもあったりして。
僕は割と斬新なフォームで(笑)書いてたりした子どもだったので、
いつも先生に怒られてました(笑)
渡辺:実際には体が求める動きとか、
それに沿った方が本当はいいんだと思うんだけどね。
ただ、それを無理矢理矯正する根拠をあまり聞いたことなくて(笑)
ドラムも教則本とかにもジャーマングリップとかフレンチとか書いてあるけど、
何でこの持ち方なのかっていう理由はどこにも書いてないじゃない?
そこに何も疑問を持たずに受け入れてしまっていいのか?って
思っていたりもして。だって実際この叩き方だと腕ツラいし。
vrs:ふむふむ。
渡辺:僕は初めて観た教則ビデオがポンタさんので。
あのお方はどちらかというと天才肌じゃないですか。
なので、おっしゃってることが結構感覚的で。
で、この動きを10万年やれ、とか言ってる腕の振りがモーラーに近くて。
ポンタさん、その振りを教わったかどうかはわからないけど、
いま思うとあの動きモーラーじゃん!って(笑)
vrs:やっぱり天才でしたね(笑)
渡辺:でも、ドラムの教室とか行くと、
まず脇を空けるのがダメって言われるみたいなので。
vrs:まさに型ですね。
渡辺:結局教えている人がそういうものだって、教えてるからね。
だから、僕の師匠の山背さんはそういう文化を変えて行こうとしているわけです。
あとは僕を始め、山背さんの弟子たちがYOU-TUBEに動画上げたり、
徐々に広がるようがんばっている感じなんですが、
巷でモーラー奏法として上がっている動画の中には、「これホントに楽?」
っていうものも結構あって。
だから、それを見る側がそれを判断する力を身につけてほしいんだよね。
vrs:モーラーというキーワードは広まっているのかもしれないですが、
正しい情報をどう受け取っていくかってことですね。
渡辺:まぁ、どれが間違っていて、自分たちが教えているものが正義だって
ことを言いたい訳ではないんだけど、ただ体が楽か楽じゃないか、
そこで判断して、あとは叩く人がどれを選んでいくかってことになると思う。
vrs:そうですよね。
僕も習い始めの時は、「それだとちょっと余計な力入ってない?」って
渡辺さんに言われても「そうかな…?」って感じでよくわからなくて。
でも、次のステップに進んだ時に、「あっ、入ってた」って気付くんですよ。
なので、やっぱりわかってる人に見てもらう機会は必要だと思います。
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第二回はここまで。次回はどうやったらリズム感がよくなるか、などなど
渡辺さんの持論を語ってもらっています。お楽しみに!
■Information
渡辺さんの行っているドラムレッスンですが、次回10月20日(木)に予定しています。
当日は19~20時で無料体験レッスンも行います。
1名の募集ですが、ご希望の方は、ぜひスタジオまでご連絡ください。
■velvet room studio drum lesson
渡辺さんによるドラムレッスン、生徒さんの人数も徐々に増え、好評開催中です!
随時生徒さんは募集しておりますので、まずは無料体験レッスンを受けて
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場所:velvet room studio
http://www.velvetroomstudio.com/
内容:モーラー奏法をはじめ、生徒さんの要望にあわせたレッスンです。
料金:5,000円/1時間
時間:1~2時間/月1回
形態:個人レッスン
2011年10月09日